“地域住民に密着した文化施設” 仙南芸術文化センター「えずこホール」を訪ねて

10月5日(水)「福島の芸術ホールを創る会」の委員9名が宮城県大河原町の「えずこホール」を訪問しました。水戸雅彦所長が館内を案内、説明してくださいました。

地域文化を創造するゆりかご

宮城県は県内を7ヶ所に区分し、それぞれに性格の違う文化施設を建設。仙南地区には2市7町で構成された広域文化施設として「えずこホール」が15年前(平成8年)に誕生しました。

「えずこ」とは東北地方で乳児を育てるために使ったワラ製のカゴのことで、「地域文化を創造するゆりかご」のようなホールでありたいとの願いから命名されたそうです。

建物の外観は「えずこ」を伏せた形をイメージさせ、屋根の勾配は、ピラミッドと同じ52度。南側には田んぼと雲をイメージした彫刻が配置され、子ども達が自由に遊べる空間になっています。

3月11日の大震災当日は練習室だけの使用でしたので、すぐに避難し無事。ライフラインが止まり、被害もありましたが、4月1日に会議室・練習室が仮オープン。4月12日には水戸所長からの働きかけで自主事業として、二兎社の「シングルマザーズ」の公演が行われました。その後6月上旬に全面オープンしています。

コンセプトは「住民参加型文化創造施設」

平成22年度における「えずこホール」の主催事業総数は507回、参加者(観客)数合計は25,315人。その中に住民創造グループの事業もあり、各団体が会館を利用して活動し、音楽・演劇とそれぞれに公演も行っています。またボランティアグループが、公演の際の受付・案内係・カフェコーナー・託児コーナーと各場面で活躍しています。

「えずこホール」は小さな子どもから大人まで、いろんな人が参加・体験出来る開かれた施設です。ワークショップは年42回、アウトリーチ事業は年93回も開催し、福祉施設・学校地区の集会所など様々な所を訪れます。参加するのはプロのアーティストの他、「えずこホール」で活動する各団体(吹奏楽・ギター・ヴァイオリン・男声合唱・ゴスペル・シアター)です。

開館している時は、どこかが使われている状況で、空いていることはないそうです。これだけの事業をスタッフ6名(その他臨時職員2名)で運営。更に企画は所長を含む4名で行います。運営委員会・実行委員会があり、住民代表と行政代表から成り立っています。

「えずこホール」は指定管理者制度を導入せず、管理委託の財団を解散し、直営の道を選びました。地域密着型で継続的に住民参加型事業を展開する文化ホールにとって、年限を区切って委託する指定管理者制度はなじまないとの判断によるものです。当面は直営(仙南地域広域行政事務組合が管理運営)で行うそうです。職員は長期間勤務でき、専門的な仕事が出来る状況を作ってもらっており、水戸所長さんはオープン当時から15年勤務されています。

施設見学

◇大ホール

802席。1F584席,2F218席、車椅子4席

ステージから客席を観ると、先ず淡い2色の色づかいでランダムに並ぶ椅子が目を引きます。客席は長時間の公演に疲れず、ゆったりと楽しめるよう、座り心地を重視した椅子が選ばれたとのことです。おしゃれなデザインと座り心地のすばらしさに外国製でかなり高価なものとお聞きし、更に「座る文化」は西洋文化であるとのことで大いに納得しました。

ホールの内装は黒を基調とした色調で、全体が蔵のイメージでデザインされ、和と洋のバランスがよく、大変落ち着いた雰囲気になっています。舞台と客席は近くなるように設計され、2階席もかなり前まで張り出しているので舞台が近く、大変観やすい席づくりになっています。車椅子席も4席常設、椅子を取り増設されるようになっています。ファミリー室(母子室)も正面ドア両側に2部屋、かなり有効に利用できるように思えました。

◇平土間ホール

約300席 可動式でステージ下に収納

赤と黒を基調としたモダンな感じで大・小2つの電動昇降ステージがあります。講演会、演劇、音楽会、展示会など多様に利用できるオープンスペースです。

◇屋外劇場

約300席

平土間ホールに続いて扇形に広がる開放感あふれるスペース。野外コンサートや野外劇に最適。平土間ホールの外に面したサッシを前面開放することにより外の客席と一体となり、演劇やコンサートの公演に使われます。平土間ホールと併用することで、演技者や器材なども天候の変化から保護できるつくりになっています。

◇楽屋

個室(2)と和室を備えた大部屋(1)があり、個室にも素敵な外国製の皮の椅子がありました。特徴的なことは「楽屋ラウンジ」が設けられていることで、演技をする人への配慮の素晴らしさを感じました。

◇練習室

ピアノや鐘の備えられた大部屋(1)と小部屋(2)があります。

◇会議室

目的に合わせて多様な使い方ができるようになっています。

◇駐車場

隣接する大河原町総合体育館と共用で、82台(バス3台含む)が駐車できます。

 

視察を終えての感想

「えずこホール」は、地域の中にしっかり根付いた文化施設としての役割を担った素晴らしいホールという印象をもちました。将来を見通した高い意識を持つホールのアウトリーチを経験できる子ども達は本当に幸せだと感じました。福島から比較的近い場所にあり、多くの収穫、真似したい沢山の箇所があり、もっと早く視察したかったというのが参加者全員の感想でした。(担当 佐藤・本田・齋籐)

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