第26回定期総会・記念講演 ― 高校演劇の現場から

講師:西田直人さん
*前 福島明成高校演劇部顧問
*現 相馬農高飯舘校サテライト勤務

西田直人(にしだなおと)さんのプロフィール

神奈川出身。地歴・公民科教員(専門は世界史)。高校、大学は美術部。新採用時代に、友人の影響で演劇部顧問となって以来、小高商業、郡山、福島明成の各高校で計17年間演劇部顧問。この間、多くの部員たちと苦楽を共にしてきた。これまで13本の脚本を執筆。東北大会に1度、県大会に12度出場。

筆名:矢野青史

 

高校演劇の活動の基本はコンクール!!

コンクールは年に1度しかないので、いいお芝居をつくると1年間は良かったなあと思っていられるんですが、ちょっとこけてしまうと、1年間我慢しなければなりません(笑)。

~高校演劇のシステム~

10,11月

福県北地区コンクール

11校出場のうち上位3校が福島県大会に出場

11月第4金土日

福島県コンクール

11校出場のうち上位2校が東北大会に出場

12月中旬

東北演劇発表会(12月中下旬)

13校出場のうち上位1校が全国大会出場。
2位は春季フェスティバルに出場

※東北大会は12月、雪の降る時期に実施。
行くのも大変ですが、そこから全国大会へ行けるのはたったの1校。
こんな厳しい中でやっていることをお分かりください

3月

春季フェスティバル

東北大会2位高校が出場

8月上旬

全国大会

上位4校が優秀校公演

8月下旬

優秀校公演(国立劇場)

 

 

福県北地区コンクール

福島テルサで行われますが、県北にある21の高校のうち加盟校は現在11校(橘・福島西・福島北・福島南・福島東・福島明成・保原・安達・本宮・福島成蹊・福島東稜)。自慢みたいで嫌なんですが(笑)、2008年から2013年まで福島明成が最優秀になっています。ただ、県北では最優秀でも、東北コンクール出場は1回ですから、地区代表としては、正直申し訳ないという気持ちがあります。

◆ 県高校演劇コンクール

県コンクールの各地区の内訳は、県北と県中が各3校、県南、会津、いわきが各2校、相双は1校。大会開催地はボーナスということでプラス1校となります。県演劇連盟に加盟しているのは、県の高校112校中48校ですから、半分弱は演劇部があるということですが、まだまだ知られていません。コンクールが年に1回しかないのであまり話題にもなりません。

最近6カ年の結果は、2008年から古い順に、いわき総合、福島明成、大沼で、震災の年は全国各地をまわったいわき総合『Final Fan tasy for XⅠ.Ⅲ.MMXI』。2012年が大沼、昨年度が会津工業。最優秀はほとんどがいわきと会津で、福島明成が1回だけ入っているという状況です。

東北地区高校演劇発表会(東北大会)

最近の東北大会で、圧倒的に盛んなのは青森。畑澤聖悟先生という凄い先生がいます。僕も今年東北大会を観て、打ちのめされてきました。本当にいい芝居でした。青森中央の子は、審査結果発表で呼ばれても、ワーッとか喜ばないんです。僕の想像ですが、何しろ何万年経っても放射能は消えないというすごくシリアスなモチーフの芝居でしたから「この芝居をやって最優秀いただいても、ヤッターって騒いでいる場合じゃない」と分かっているのかな、立派だなと心底思いました。この6年間で、最優秀と優秀に福島の名前が入っているのは、実はいわき総合と福島明成しかありません。福島県代表が最優秀賞をいただいたのは2006年の小名浜が最後です。福島県はこのままじゃいかんかなあと思っていますが、私自身東北大会にも推薦されずにもがいているところです。

全国大会(全国高等学校演劇大会)

最優秀校は、NHKで放映されますが、全国大会に推薦されるには、とにかく本当に狭き門です。

全国大会が2011年に福島で開催されるということで、すごく楽しみにして、3年くらい前から準備を始めて、宮崎大会なども視察していました。でも3月の震災で県文化センターが使用不能になり、次の候補の二本松市文化センターも4月11日の余震で被害を受けて、結局福島での開催はダメになってしまいました。大会は2か月後に迫っていたにもかかわらず、ハイ、ハイと沢山の手が上がって、あれよあれよという間に香川県で開催決定。香川さんありがとう。でもありがとうと言いつつも内心非常にさみしかったですね。僕らは震災の大変な中、係として行きました。香川の人達はいい人ばかりでしたが、やっぱり悔しいですね。47都道府県あるわけですから、僕が顧問の間には2度と回ってこないですよね。

 春季全国高等学校演劇フェスティバル

春フェス」とも言われ、東北大会などのブロック大会で2位になった高校が推薦されます。全国大会は年度をまたぐため、3年生の卒業などによりキャスト変更を余儀なくされる高校が多い中、「春フェス」は、ブロック大会で評価されたキャスト・スタッフのままの舞台を観ることができます。年度内に行うために、2009年までは「劇団四季」の協力で、東京の四季・自由劇場をお借りしていました。その後は各地を巡演し、12年、13年、14年は被災3県で実施。13年の福島開催はいわきアリオスでした。今年度末は全国大会を肩代わりしてくれた香川での開催が予定されています。

話はかわりますが、福島県の演劇連盟加盟校は48校で、42%。東北の中では最多、東北では結構盛んな県と言っていいのかなあと思います。全国をならすと、加入割合で49.35%、全国の高校の大体半分位は演劇部があるという計算です。

高校演劇コンクールのルールあれこれ

① 上演時間60分以内にまとめる

正確には、60分59秒まで大丈夫です。オーバーすると地区・県大会の場合成績が1段階降格します。いつも舞台監督には、緞帳が降りる時間が13~15秒くらいかかるので、60分30秒過ぎたら必ず緞帳を降ろすよう、音楽を止めるよう言ってあります。大抵本番の方が時間は短くなるのですが、1回だけ郡山で60分を超したことがあります。中には確信犯の学校があって、プロ用の90分の脚本を上演するんです。最初から捨ててかかっているのかな?短いのは20分でも30分でもいいのですが、インパクトが弱いので、普通は60分前後です。

 

② セッティング・搬出合わせて20分以内

大体セッティンブ15分、搬出5分なので、あまり大きなセットは組めません。急いで事故になったりすると大変なので罰則ではなく、努力事項にしてあります。怖いので「セッティングや搬出」の練習もします。あまりこったセットは作れませんが、全国大会で、大船撮影所の近くにあるO高校が、11トントラックで来たことがあるそうです(笑)。福島で全国大会をやる時には、O高校には絶対来て欲しくない、なんて思ったりしていました(笑)。

 

③ 外部の人が書いた作品はたとえ新作でも「創作」ではなく「既製作品」扱い。

 

④ プロによる「恒常的な」指導を受けてはならない。

たまにならいいのですが、常に受けるのはダメです。香川の全国大会ではコーチのいる高校がありました。どう見てもプロがつくった照明プランやセットプランもありましたが、その辺のルールはこれから整理されていくんじゃないかと思います。

 

⑤ 顧問がスタッフとして入るのは可。キャストは不可。

 

コンクールの審査には、課題も問題も!

審査員は、県コンクールを例にとると3名。「プロ(作演出系)」・「プロ(俳優系)」・「高校演劇関係者」を基本に選ぶことになっています。各地区から希望を出してもらって理事会で決めます。


~芝居の完成度~

やった自分たちが不満足

(これは寂しい)

やった自分たちが満足

(この辺が高校生の現状)

お客様に楽しんでもらえる

(芝居になっている感じ)

芝居になるというのは漠然としたものですが、大体僕の感覚だと、地区コンクールでは芝居になっていれば、県に推薦される感じです。

 

その先は、アイデア・時代性・テーマの掘り下げの深さ・メンバーの巡り合せ(ものすごい達者な子たちがいるなど)がないとダメで、私自身この辺が課題です。

 審査の問題としては、「高校生らしさ」と「拙さ」をどう捉えるかという点があり、難しいところです。「君らはちょっとうますぎるよ、プロみたいだね」と言われて、マイナス評価を受ける時もあります。拙くても、高校生らしくていいねと言われる時もあります。演劇部のなかった明成高校は、最初同好会でしたが、正直下手くそでした。これは、うまさで勝負したら上に行く可能性はないなと思いました。農業高校なんだから、農業高校での出来事をとりあげれば何かリアリティが出るんじゃないか?他校に追いつくにはそれを狙うしか手はないと思ってやってました。

高校演劇の審査に関しては、次のようなことを考えています。

○ コンクールの結果は、「勝つ」でも「負ける」でもなく「代表になる」

私たちは県コンクールで「負けた」という感覚はないです。逆に、地区で最優秀いただいても周りの学校に「勝った」という気持ちもありません。ただ、アイデアの新しさとか深さで負けたなあと思う場合はあります。でも、芝居の根本は勝ち負けじゃない。これはくれぐれも間違ってはいけないと思っています。

明成高校演劇部公演①
「突撃!販売実習!!~北川咲アタック編~」

 ○ 結果が出たら文句を言わない。

納得いかない審査結果はたくさんあります(笑)。代々の顧問も、審査員に抗議の手紙を書いたとか、脚本を書いた生徒のお父さんから苦情の手紙が来たとか(笑)。かくいう私も郡山で初めて創作劇『アイについて』を県で上演した時に、トップだと思っていたのが入賞だったものですから、頭にきて手紙を書きました(笑)。

そしたら岩手の横澤先生が返事をくれて、東北大会(会津若松市で開催)の後ロビーに残って色々と話してくださいました。「リンゴを描く場合、きれいに描くリンゴも、荒々しく描くリンゴもいろいろなリンゴがある。君らの舞台はきれいなリンゴを描いていたけど、きれいなリンゴだけが良い絵ではないよね」と言われました。20代の終わり、 怖いもの知らずの頃で、恥ずかしい思い出です。そこからまじめに芝居を考えるようになりました。今なら言われたことがよくわかります。小名浜で退職された児玉先生も「審査というのはラーメンとカツ丼とハンバーグとどれが一番好きと聞かれているようなものなんだ」と言っていました。

今心がけているのは、審査の俎上にのぼるような状態でどんな大会にも出たいということです。結果に納得いかないと騒ぐ者(大体は顧問)がいますが、会場で言ったりすることは絶対やめた方がいい。僕は手紙を書きましたが、会場では言いませんでした(笑)。最優秀を頂いた時は、当時の県の事務局長からその場で「意外だ」と言われたし、県北のある先生からも言われました。失礼ですよね(笑)。確かに下手でしたが、それが味で勝負している訳ですから。とにかくどんな結果であれ、どの学校も努力して出場しているのだから、どんなに納得できなくても大っぴらに「おかしい」なんて言うべきじゃないなと思います。選ばれた学校はすごく嫌な気持ちになります。

私たちの場合は、その後東北大会に入賞したということで溜飲を下げたというか、俺らの芝居はそんなに間違っていなかったと内心嬉しかったです。だから審査というのは難しいですよね。

明成高校演劇部公演②「そこで、咲く花」

○ お客様がいて芝居になる

演劇の審査は、合唱や吹奏楽と違って、常に

総合評価で決まります。点数がありません。新型インフルの年、合唱コンクールでお客を入れず審査員だけでやるということがありましたが、演劇ではあり得ません。あくまで「芝居」としての評価なので、点数云々ではありません。お客様がいて芝居になるわけです。お客様にしっかり伝えるということがまず第一だと思います。

 ○ コンクール「必要悪」論

コンクールで順位づけしていると最優秀だけが偉いのか、など色々と勘違いしがちです。では、コンクールが悪いことなのかというと、コンクールがあった方が分かりやすいし、目標もできるし、必要悪というか、活動の活性化のためには仕方ないかなと思っているところです。

高校演劇と劇場

高校演劇の大きな特徴

1日に数多くの演劇部が上演する

リハーサル時間は県大会も東北大会も80分位ですから、とても足りず、通しもできませんので、本番ではつい気持ちが入り過ぎちゃったり、声が届かなかったりして、なかなか過酷な環境です。地区大会だけは福島テルサさんのご好意でリハーサル2時間いただけるので、通し稽古ができます。本当にありがたいです。

学校によって、部員、顧問の知識、習熟度に大きな差がある

何にも分からない子から、よく知っている子までいろいろです。舞台係をやっていても、どこまで手を出せばいいのか、かえって出さない方がいいのかの判断が難しい。基本的にはあまり手を出さないのですが、危険な場合には強く注意することもあります。

 

○ ハード面について

① 最低2~3校分の道具の置き場が必要

「福島の芸術ホールを創る会」が提案するホールなら、道具置場も広くて高校演劇の大会もやりやすいだろうと思います。

僕らが青森に行った時には、福島から持って行った全部の大道具を会館に置きっ放しにしました。東北大会では、10校位の道具を置かなくてはならない。県文化センターではその場所がなくて、テントをレンタルし、下に平台を敷いて道具を置きました。それでも足りなくて、期間中2回ぐらい場所替えをお願いした学校さんもありました。何しろ12月なので、ものすごい吹雪になって、今でも忘れられないのは岩手の学校でのリハーサルの時。観客席にいた僕等にもゴーという風の音が聞こえるんで外を見たら、係の生徒たちがテントが飛ばないように一生懸命押さえていたんです。トラックで来ている学校にはトラックで風よけになってもらったりしました。一歩間違ったらケガ人が出たかもしれませんでした。

 

② 全出場校に練習会場の割り当てが必要

大きな会議室が最低2つ位確保できないといけません。大会中は本当に練習場所には困ります。泊っている旅館の会議室などが空いていれば借りますが、ダメなら部屋で練習します。演劇部は女子が多いのですが、女子の部屋で練習するのも悪いなと思って、だいたい僕の部屋でやります。僕の部屋はたいていシングルなので非常に狭い。鮨詰め状態でベッドの上に10人位座って、それで稽古になるのか?という感じですが、セリフとキューだけ合わせたりします。まあでもそれがまた楽しい思い出になるんですが。

 

○ スケジュール面について

舞台裏はまるで“戦争”状態です。

上演終了  ※ここから“戦争”が始まる

セット搬出(5分以内目安)

袖には、次の上演校が待機

搬出終わり次第、次の上演校がセッティング

(15分以内目安)

すぐ上演 ※これが1日に5~6回も続く。

 

○ ソフト面について

高校演劇の「特殊性」を理解して下さる会館職員さんの存在は貴重です。

「教え、育てる」意識を持って接していただけ

るとありがたい。状況を分かっている学校には手

手を出さず、全然分からない学校には手伝うという臨機応変な考え方が必要です。その点で、福島テルサさんと県文化センターさんは最高です。私は相双地区、県中地区、県北地区といろんな地区の顧問をやってきましたが、お世辞抜きでテルサさんは本当にいいですね。特に松本館長さんは、自分たちが教えるんだという気持ちで仕切ってくれます。よく分からない先生方にも、教えよう、育てようという気持ちをもって接してくださる。県文化センターさんも同じで、何か言えばいつも笑顔でやってくれます。福島市は本当に恵まれているなあ、と思います。

ある地区でのことです。県北では会館の職員さんに僕らが舞台に並んで最初に挨拶するんですが、照明さんや音響さんが5分過ぎても全然来ないし、あいさつもなし。明文化されていない地区のルールがけっこうあって、県大会の度に迷ったり、ビックリしたりします。

アリオスさんもスタッフさんが素晴らしい。色々提案してくれます。2011年に、僕の責任だったのですが、持参したセットの高さが合わなかった時、その場でベニヤをカットしてくれて、本当に助かりました。自分の甘さも感じました。 照明も何も言わなくても思い通りに当てていただきました

東北大会でのこと。雇われたスタッフがプロ意識というか、こだわりが強すぎて、僕らの2つ前の学校の舞台打合せをいつまでもしていたおかげで、帰りの新幹線の最終時刻がきてしまい、打合せができませんでした。弘前まで行って大会事務局に書類だけ渡して帰ってきたという訳です。バランス感覚も大切ということです。でも全体的には、会館の皆さんには感謝することがいっぱいあります。

 

高校演劇と高校生

○ どのような生徒たちが?

明成高校演劇部公演③ 「順化室~放課後の花たち~」

高校演劇をやりたくて入ってくる生徒もいますが、基本的には何か新しいものを求めて入って

きます。中学までやっていたことを諦めて。上昇志向よりは、何か別のもの、面白いものを探す、という生徒が入ってきます。クラスの中では静かにしている者が多いですね。

私自身もそういう生徒たちと一緒です。高校、大学と美術をやっていましたが、正直絵がものになるほど上手にならない。それで歴史が好きだったので、大学は歴史の大学に入りました。高、大とも美術といいながら漫画を描いていました(笑)。高校時代に原稿料を貰ったこともあったんですが、では一生漫画を描いていけるか、というとそこまででもない。何かやりたいけどできるものはない。そんなことを思って先生になった頃、同じアパートにいたのが、小高工業、その後郡商に移って演劇をやっていた人で(私は小高商業でした)、彼に言われたんです。「演劇は面白いんだよ」って。言われてみれば漫画のように物語がつくれるし、美術の要素もあるし、好きな音楽も使えるし、ならば僕も演劇やってみようかなと。結局いろいろ諦めて、たどり着いたら演劇が面白かったのは、僕も部員も同じだと思う。人生捨てたもんじゃないなと思っています。だから生徒たちに、演劇で輝くということを経験させられたら嬉しいです。その子が輝く最後の砦として、演劇で良い経験をさせたい。コンクールの結果としてではなく、いい経験をさせて、自信を持たせて卒業させたいなと思っています。

 

○演劇を続けた結果は?

演劇に補欠はいません。演劇の良さは、キャスト、スタッフ合わせてみんなに役割があるため、達成感、責任感がとても大きく、「みんなでやったんだ」、その中で「自分はこれができたんだ」、ということを感じられるところです。補欠がいないというのは、苦しいところもあって、全員に役割があるので、途中でやめられたりするととても困ります。お客さんに観てもらったり、次の大会に進めたりすると自信になります。僕は同じ学校の先生方に「(コンクール等に)来てくれ、来てくれ」としつこく宣伝しています。生徒も自信がない時は自分の親や先生に来てほしくないと言いますが、ある程度自信がつくと誘えるようになってきます。私は、誰が来てくれたかメモしておいて、部員に必ずお礼に行かせます。そうしておくと先生ですから生徒に悪口は言わない(笑)。先生から「良かったよ」と言われたと、にこにこしながら報告してくれます。これが生徒たちの自信になるんですね。

お芝居を観るとすぐに集まって、全員に必ず何か感想を言わせます。最初は何も言えないのですが、芝居を観て感じたことを言葉で表現させていると、だんだん表現力、感じる力がついてくるのではないかと思います。そしてお互いの感性や表現の違いを感じとってもらえればと思っています。ただすぐやらないとダメ、その場でやることが大事です。そして芝居をやる中で、人間の見方等が深まって、変わってくれたらいいなあと思います。自信、達成感、責任感、感じる力、そういうものが伸びるのではないかと思います。私自身は大して成長しないんですが、高校生は3年間で大きく成長して卒業していきます。それを見るのが嬉しくて、顧問を続けているのかもしれません。

 

○引退、卒業後は?

「福島の芸術ホールを創る会」の機関紙にも書かせてもらいましたが、演劇を「観る」力を持った人になってもらえたらいいと思います。演劇って最初観た時は何にも分からなくても、沢山芝居を観るようになったり、自分でやっているからこそわかってくることが沢山あると思います。そうやって、お芝居を観ることに興味がわくとか、下世話ですがお芝居にお金を使うようになるとか、そういう方が一人でも二人でも三人でも増えていけば、福島市もよくなるのではないかと思います。そして、もっともっと高校の演劇部が増えていけば、私が転勤したときに演劇部がないということもなくなりますし(笑)。

福島明成に来たときも演劇部がなくて、大変な思いで演劇部を作りました。僕に演劇を教えてくれた先生も小高工業と郡山商業に作っています。他にも2つ作った先生がいます。全部の学校に演劇部があれば転勤も恐くありませんが、今私も作るのか、作らないのか悩みながら生きています。できるだけ演劇が末広がりになっていけばいいなあと思っています。プロとか演劇の道を勧めるということはありません。進みたければ進めばいいし、必ず成功する世界ではないので基本的には止めます。やめろと言ってもやる子はやりますし、知らないうちに演劇の学校に行っていた生徒もいますし、役者になろうとした生徒もいました。

 

高校生と芝居を創るということは・・・

○脚本を描くということは?

部員を輝かせるための土台であり、結果として自分・自分たちの「人間や世界の見方」を観客に問うことになります。

既製の脚本にもいいものもありますが、部員のキャラクターに合わない場合が多く、部員に合わせて描く方が早いと思っています。未熟な生徒が多い中、既製脚本だと未熟さがもろにみえてしまうということもありますし。

明成高校は、僕が10年前に来た時は、不本意で入学してきた生徒が多かったり、演劇部もなかったりで、何だこの学校は?と思いました。ただ、1年間やっていく中で、学校に対して自分自身が面白いなあ、自信を持っていいんだなあと思えました。そこを基調線として、カーネーション販売や販売実習などを素材にして、テーマと重ね合わせて脚本を書くくようにしてきました。

西田直人さんの福島明成高校での作品一覧

*亀太郎先生、こんにちは!

*突撃!販売実習!!北川咲アタック編~ 

*そこで、咲く花 

*OUR SCHOOL~そよ風はモモのかおり編~

*順化室~放課後の花たち~ 


○脚本執筆(理想の)スケジュールとは?

僕は脚本を描くのに時間がかかります。3日で描く人なんて本当にうらやましい。次は理想的な脚本執筆のスケジュールです。

1月~2月:ネタ探し。

3月~7月:ネタの検証・アイデア探し・メインのキャストの検討(これでいい芝居が出来るかを練る・同時進行で新入生歓迎公演や春季発表会の芝居創りもしている)

7月~8月:執筆

9月~:稽古&改稿(書き直しも多く、部員には申し訳ないが、1稿から6稿ぐらい直す)

部員たちも大変です。僕も稽古しながら、演技が悪いのか、脚本の問題なのか、常に考えながら、昼に稽古して夜には書き直して、ということで結構きついです。それでもいい芝居になるだろうと信じて、部員たちと楽しみながらやってきました。

 

○高校生と芝居を創るということ

一期一会です。部員と芝居を創るチャンスは、3年間で校内発表から自主公演、県コンクールまで最少4度から最多19度あります。

私もはやく高校演劇に復帰して、芝居創りをしていきたいと思っています。これからも高校演劇をよろしくお願いしまして、私の講演とします。ご静聴ありがとうございました(拍手)。

(担当 三瓶、柳谷)

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