第28回定期総会・記念講演 ― チームすまいる・いわきPIT

“福島の子どもたちに夢を”
―チームスマイル・いわきPIT(ピット)の活動紹介―

講師:チームスマイル・いわきPIT支配人 箱崎友清さん

 

まずは自己紹介から

私は昭和24年にいわき市で生まれ、18歳まで過ごしました。その後大学進学のため東京へ行き、卒業後は日本通運という運送会社へ入社、配属は航空事業部の国際貨物。そのため海外勤務が長く(ニューヨーク、シカゴ、シドニー、アトランタなど)サラリーマン生活の半分は海外で過ごしてきました。退職後、高校時代の友人(チケットぴあ社長)からチームスマイルの仕事を手伝って欲しいと誘われて現在にいたっております。長年勤務してきた日本通運とは全く違う別業界でのスタートでした。

 

チームスマイルPIT(ピット)とは

チームスマイルPITの立ち上げ

エンタテイメント業界の有志たちが、東日本の復興支援ボランティア活動をしてきましたが、衣食住の整備が徐々に整ってきており、これから本当に必要となるのが「心の復興支援」だと考え、2012年10月一般社団法人“チームスマイル”を設立しました。

復興支援活動を継続するためには、その活動拠点が必要と思い、東北3県と東京に合わせて4つのシアターを開設。PITとは“Power Into Tohoku”の頭文字をとったもので、“東北に元気を!”の意味です。

チームスマイルPITの組織

私どもの主旨に賛同して頂いた方々に理事になって頂きました。表の通りです。

そのほかに常務理事が3名、監事1名、顧問4名の組織です。

【敬称略】

✿代表理事:矢内廣(ぴあ代表取締役社長)

✿副代表理事:中西健夫(コンサートプロモーターズ協会会長)

✿理事:秋元康(作詞家)

✿理事:小原芳明(学校法人玉川学園理事長)

✿理事:川淵三郎(日本サッカー協会最高顧問)

✿理事:三枝成彰(作曲家)

✿理事:下村満子(ジャーナリスト)

✿理事:野村萬(能楽師・人間国宝)

✿理事:林真理子(作家)

✿理事:原田明夫(弁護士・元検事総長)

✿理事:福井俊彦(キヤノングローバル戦略研究所理事長・元日銀総裁)

✿理事:吉永みち子(作家)

4つのチームスマイルPIT

一番大きいPITが東京豊洲で3,100名収容(スタンディング)、仙台1,200名(スタンディング)、いわき201席(+車椅子席1)、釜石150席となっています。東京・仙台は音楽関係のライブハウス、いわき・釜石が多目的ホールで音楽・芸能・講演など様々な催し物に利用できます。
いわきPITの客席は前半分がフラット(平)、後半分が階段状の席になっています。このフラット部分の椅子は取り外し可能で、外しますと広いスペースが確保できます。このスペースを使って展示会などに利用できます。(実績:高級スポーツ自転車の展示試乗会、手作りのアクセサリーの出店など)

◆いわきPITの外壁

いわきPITは昨年(2015年7月24日)オープンしましたが、オープンに先駆けて日比野克彦先生(東京芸大教授)をお招きし絵のワークショップ(子どもたちを対象)を催しました。子どもたちが描いた絵(折り紙を使用した切り絵)を雨に濡れても大丈夫なように加工して、それを外壁に飾ってあります。(片面40枚ずつ、両面合わせて80枚)

 

いわきPITの目指すもの

⒈ 心の支援と人材育成

✿キッズプログラム

・子どもたちの心と身体のケア

・“わたしの夢”応援プロジェクト

✿アウトリーチ

・学校や教育施設への出張公演

✿ワークショップ

・体験型学習セミナー

・教育者、コーチ養成

この中の“わたしの夢”応援プロジェクトは各界の著名人を召喚し講演をして頂く、あるいは簡単なワークショップを催すなどの企画です。第1回(5月5日)がマラソン選手の有森裕子さんをお招きして約1時間ほどの講演、そのあと質疑応答があり、招待した高校の陸上部員から色々な質問がでて有森さんは丁寧に説明しておりました。これらの費用は寄付などで賄っています。東京・豊洲PITにドリンクバーがあり、飲み物1杯500円で販売しております。そのうち50円を寄付して頂き、寄付の証に葉っぱの50円シールを木の枝に貼り付けてもらうという仕組みです。(現在1,800万円程集まっております)

 

2.新たな“街づくり”

いわきPITは駅から歩いて10分位で、中心市街地活性化の中心的施設として街づくりにも参加しています。いわき街中コンサートでは無料で会場提供をしました。また、昨年いわき市では初めてのハロウィンの仮装行列も催し、今年も実施予定です。

 

3.つながる4つの「PIT」

東京、仙台、いわき、釜石の4つのPITを連動させて他の劇場には無い企画を創っていきましょうということです。4つのPITを通信回線で結ぶことができます。(ライブビューイング)

2015年度(初年度)いわきPITの実績
⑴ 主催事業

有料主催もありますが無料で提供する催し物が多いです。

①きっずフェスティバル(幼児向け)
 マジックショー、バルーンアート、子ども向け寸劇など。またポケモン(ピカチュウ)も出演しました。

②音楽劇“あらしのよるに”
子ども向け絵本で有名です。

③コーディネーショントレーニング(運動能力の育成)
子どもたちの運動能力育成と指導者養成が目的です。原発で外で遊ぶ機会がすくない、そして家に引きこもりがちな子どもに身体を動かす能力を向上させるためのトーレーニングです。東京のYMCAの専門の先生3人をお招きしました。

④表現教育(スマイル演劇好きる塾)
 自分で自分を自己表現できない人達の為に演劇の手法を取り入れて自己表現できるようにする、主導者養成講座で玉川大学の太宰教授をお招きし10回にわたって実施しました。尚、③、④はいわき市から助成金を頂いております。

⑤ハロウィンパーティー
 いわきPITからいわき駅まで仮装行列、約200人程参加。またPITでは仮装コンテストも行われ、街興しにも一役買いました。イトーヨーカドーさん、ラトブさん(駅前ビル)にも協賛して頂きました。いわきでは初めての試みです。

 ⑵ 共催事業

私どもと同じ主旨の事業者と一緒にやっていく共同事業です。

①音楽の隠れ家

②むかしの鍵盤にふれてみよう

③うたの講座

④ふくしま・いわきコラボ寄席
 福島といわき市の落語家による落語大会(好評でした)

 

⑶ 協力事業

①いわき街なかコンサート

②浜魂(ハマコン)
 毎月PITを利用して頂いております。自分の考えを登壇し説明、そして色々な人たちのアイデアをもらい実行に移す催し物。

③小学生を対象にしたプログラミング授業

④東京ガールズコレクション
 イトーヨーカドーさん主催でしたが、近隣であったこともあり、PITの会場を提供いたしました。

 

2016年度の事業計画について

➀市民ミュージカル
 10代の高校生から50代の方まで現在25人の受講生がおり、夜一生懸命練習しています。歌の指導者鈴木康夫先生は布袋さんなど著名人のボイストレーナーをされた方。ダンスの指導者は神永さん。まとめは演出家でいわきPITの劇場監督を務める高木達さん。発表会は6月5日。

 ②きっずフェスティバル
 今年は市の協力も得て、消防車、白バイ、パトカーも参加。サッカーチーム“いわきFC”の選手の方々も来ていただき、サッカー教室もやります。小さいお子さんに非常に人気のあるポケモンのピカチュウは今年も来ます。劇場の中ではマジックショーや子ども向けの歌も予定。

 

いわきPITの建物の概要

ホール面積は466㎡。座席が202席(車いす席1)。舞台が間口9.5m、奥行6.4m、高さ4.8m。楽屋は1つですが、アコーディオンカーテンで2つに仕切ることができます。ホワイエは50㎡、天井が高いので圧迫感はないです。関係者用、演者用の駐車スペースが7台分です。入場者は隣にある有料駐車場か、イトーヨーカドーさんの無料駐車場をご利用頂いています。

コインロッカーは75個ありますが、現在利用頻度は多くありません。

 

貸館の場合の使用料金について

入場料が無料の場合は、1日借りて、土、日、祝日が5万円。平日が4万円。音響卓と照明卓の料金も楽屋料金も込みの金額です。入場料が発生する場合は金額によって加算します。半日、時間帯、夜だけの料金設定もしています。


❖❖質問コーナー❖❖

Q1.運営費はどこから出ますか?

A1.東京の豊洲の収益をほかの劇場の運営費に充てています。収支的には釜石といわきが赤字で、仙台はトントンかちょっとプラスでしょうか。豊洲がエンジンです。ただ、豊洲の収益だけでは足りない部分もありますので、いわきだけの試みですが、今月から無料会員(パートナーズ)と有料会員(サポーターズ)を募集しております。無料会員には主催事業の際に無料でお手伝いして頂きます。労力じゃなくて、お金なら払えるという方には年1口5,000円の有料会員になって頂きます。現在12名いらっしゃいます。1,000名にしようと思っています。対象はいわき市民だけではありません、福島の皆さまも是非ご入会ください。

チームスマイルPITは一応の区切りとして10年で全て終わる計画です。基本的には東北の子どもたちを元気にしようということが目的なので、それが10年で果たせればと考えています。

 

Q2.有料会員は催し物が無料ですか?

A2.そうだと言いたいのですが(笑)、キリがありませんので、チームスマイル特製バッジを差し上げます。いわきPITを支えてくれた人としていわきPITの公式ホームページに名前を掲載します。いわきPITのイベント案内やお得な情報をお届けします。
いわきPITオープン時には沢山の著名人に応援して頂きました。コンサートに出演して頂いた倍賞千恵子さんもその一人、年齢を感じさせない歌唱力で感激しました。

 

Q3.子ども向けの催し物は無料ですか? 

A3.“私の夢”応援プロジェクトを始め、子ども向けの催し物は、無料が多いです。

 

Q4.10年で終わるということは、建物の材質も普通のホールと違いますか?

A4.建築費は全体で2億7千万円かかりました。音響卓と照明卓の金額も含めてです。建物の構造は鉄骨で組み、屋根も普通に施工しています。いわき市の建物であるアリオスと比べれば貧弱ですが、多目的ホールで音楽・演劇・芸能などに使用できますので市民の方に気軽に自由に使っていただきたいと思っております。

 

Q5.復興の補助金は出ていないのですか?

A5.復興庁の東京本部は「志はわかりますが補助金は難しい」という回答でした。プログラム毎に市にお願いしたり、市から国にお願いしてもらったりするなどのアクションはおこしています。私どもといわき市といわき商工会議所の三者で協定を結び、ポスター貼付やチラシ置きなど色々な面で協力頂いています。

 

Q6.オープンから1年が経過し、地元の評判はいかがでしょうか?

A6.PITを知らなかったという人がまだまだいます。ラジオ番組(イベントピックアップ)で宣伝も始めました。ただ私どもが発信しただけでは中々効果が出ません。いろいろな方に来て頂き、それが積み重なっていくことで、芋づる式に広がっていくんじゃないでしょうか。本日ここで約40人の方々にご紹介出来たことは、一つのステップです。PITの評判は悪くありませんので、是非皆さんにもご協力いただければと思っております。。

 

Q7.被災県3県の中でいわき、釜石、仙台になった理由は何でしょうか?

A7.被災3県の中心地をピックアップしました。釜石は丁度そういうものをつくろうとしていた時だったんですね。仙台市は宮城で一番大きい中心地です。いわきは浜通りの中心地で、原発もありましたし、チームスマイルの代表者の出身地でもありましたので。

 

Q8.釜石PITは市で建設しているので、10年過ぎたあとも建物は残り、活動は継続していくんじゃないでしょうか?

A8.釜石PITは釜石市が建てており、小さなショッピングセンターの一部にあります。元々釜石は娯楽施設が少ない所ですが、最盛期で10万人弱だった人口は今4万人を切っています。人口は減る、若者は出て行く、そういう中で若い人たちを引き留めようと前向きにとり組んでいます。ですから釜石の建物は残ると思います。ただ運営に関しては、10年経った時チームスマイルとしてどうするかはまだ分りません。

 

Q9.子ども達には、全国的にネームバリューのある人ばかりでなく、身近で頑張っている人も会わせてあげてください。箱崎支配人さんのように、地域のために真面目にお仕事をされている方のお話を聞けば、もっと地域のことが好きになるんじゃないでしょうか?

A9.今、いわき市の教育委員会が「いわき志塾」というものをやっています。例えば法律関係の検事、弁護士など、本当に身近な人を10人位呼ぶんです。著名な人ばかりじゃなくて、身近な人でやっていこうという事例ですね。私どもの建物は決して立派ではありませんが、中身を充実させようと考えています。いくら立派な建物をつくっても中身が貧弱だと活きてきません。中身(ソフト)が非常に大切だと思っています。

(担当:笠原慶大、柳谷紀子)

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