福島芸術ホール構想

―演劇文化ゾーンの創出に向けての提案―

平成24年8月
作成:小林吉則(有限会社小林吉則建築計画室

 


コンセプト

演劇を核とした魅力と活気のある文化ゾーンを形成すべく、地域の歴史的・文化的発展を継承し、未来に向けて新しい文化を創出する拠点、いつも多くの人が出会う多様な知識・情報の交流拠点、時間の経過とともに味わい深く、地域の風景となってゆく施設を目指して以下の提案を行います。

A. 文化としての演劇を受け入れ、熟成・発信する場の創造

  1. 奇抜さを目指すのではなく、シンプルでありスタンダードな質の高い演劇ホールとします。
    • 観やすいこと
    • 演じやすいこと
    • 使いやすいこと

B. ひと・コミュニティを育む場の創造

  1. 演劇ワークショップなどを通してひととひととの交流を促し、多世代交流、情操教育の場としても機能します。
  2. 各施設を支えるサポーターや、我が町を愛する地域住民による案内ボランティア等が一体となって施設の運営をサポートします。
    地位の人々が参加し、施設の利活用を支える仕組みを構築します。
  3. 他地域の活動や質の高い芸術活動を受け入れ交流を図れる場とします。新たな刺激が生まれ、新たなコミュニティーが創造されます。

C. 風景を継承する場の創造

  1. 連続感のある楽しいまちなみ形成に寄与します。
  2. 緑豊かで潤いのある町なみ形成に寄与します。
  3. 対話のある町なみ形成に寄与します。

D. 芸術ホール、学習センター、図書館の3館複合施設

  • 人々が演劇という芸術を体験できる場であると同時に、地域住民がいつでも気軽に立ち寄れる、日常的な公園あるいは居間のような場所となるような空間とします。
  • 演劇鑑賞に訪れた人々がこのエリアを回遊し、まち並みや地域のコミュニティーに触れることができます。
    新しい文化発信基地としてのゾーンと、昔から連綿と生活が営まれてきたまちなみとが連続し、融合できる動線計画とします。
  • 演劇鑑賞施設という枠を超え、子供やお年寄り、いろいろな人々が気軽に立寄り、交流・憩いの場となる公園やリビングのような演劇文化ゾーンの創出を目指します。
  • 多様な機能を持った建物をゆるやかに連結させることで、一つの機能では実現できない新たな創造や交流が生まれます。
  • 生涯学習機能の充実を図るべく、芸術ホール、学習センター、図書館各々の特徴を生かし、3館が連携しながら横につながるネットワークを構築し、それらを活用することで人が主役である魅力ある空間の創出を目指します。魅力あるプログラムの創出を図ります。これらの活動はこれから地域や施設を担う人材の育成にも寄与します。

<ライブ感を楽しむ>イメージ

来訪者は劇場に近いB&B(ベッド&ブレックファースト)の宿に泊まります。観劇の前に近くのレストランで食事を楽しみ、観劇のあとは通りを歩きながら、あるいは近くのカフェやバーでお酒などを飲みながらお芝居の余韻を楽しみます。翌朝、モーニングコーヒーを飲みながら宿の主人と談笑。周辺のまちなみを散歩していると、昨日の俳優たちのランニングに出会うかもしれません。芝居の合間、カフェでは俳優やスタッフたちも同じ場所でお茶を楽しんでいます。滞在することで演劇の街の雰囲気を共有し、楽しめる場を目指します。図書館では芝居に関する資料を閲覧でき、中央学習センターでは演目にまつわるワークショップが開催されます。
芸術ホールのみで機能が完結するのではなく、図書館や中央学習センター、まちなかのレストランやカフェなどと一体となってこそ、芝居の楽しみ方・味わい方に幅・奥行きが生まれ、ライブ感や余韻に浸ることができ、滞在・回遊することの楽しみを味わうことができます。


空間概念図

メインホール構想

観やすいこと、演じやすいこと、使いやすいことを基本とした810席(母子席10席を含む)の演劇主体ホールです。舞台(役者)と客席(観客)との一体感が生まれる空間を目指しています。

舞台

演劇ホールとして十分な広さを設け、床に釘を打ったりできる、設営の容易な仕上材(木製)とします。
メンテナンスの容易な床下空間は、簡易的な奈落としても機能します。

舞台吊物機構
演劇に適した釣り物配置とし、使いやすさ、メンテナンス性に配慮した機構とします。

楽屋まわり

楽屋は役者(劇団)にとっての家をイメージして計画します。プライバシー性の高いこと、衣装を着けていても移動しやすいこと、衣装や小道具を置いても邪魔になりにくいスペースなど、役者にとっての使いやすさ、快適性に配慮した空間とします。
ストレス無く過ごせることは演技に集中でき、よいパフォーマンスにつながると考えるからです。

音響調整室・調光室

舞台全体を見渡すことができ、見切れのない配置とします。

公共ホールとしての使いやすさ、メンテナンス性に配慮し、演劇主体ホールとしてスタンダードな機材を採用します。

大道具搬入口

10tウィング車2台がおさまるスペースを確保します。プラットホームから舞台、楽屋まわりへはフラットに移動することができます。屋根をかけることで悪天候時でも大道具をスムーズに搬出入することができます。

 

 

客席

オーソドックスなワンスロープ・シューボックス型の客席です。演劇に適した音響設計とし、どの席からも見切れがなく、舞台が見やすい客席配置・勾配とします。役者も観客も芝居に集中できるよう、反射の起こりにくい黒などの暗色を基調とした内装計画とします。

仮設音響調整ブース椅子を取り外すことで音響調整卓の持ち込みができるようにしています。

母子室(10席):声を出しても客席に影響の出にくい防音(遮音)性の高い使用の親子席です。

  ミニシアター概要

ステージを昇降式、客席を壁面収納型移動式観覧席とし、可変性を持たせることで、バリエーションのあるホールとします。
室全体に吊物(美術・照明)を設置し、キャットウォークを設けることで使い勝手、メンテナンス性の向上に寄与します。
多様なパフォーマンスに対応できる空間とします。
市民レベルの活動に使いやすいホールを目指します。

平土間使用の場合

観覧席・ステージを全て収納し、平土間空間とすることで、メインホールのリハーサル室として使用します。また、展覧会などの催し会場としても利用できます。

ワンスロープ使用の場合

 片側の移動式観覧席(背面)を利用することで、ステージ付のワンスロープ形式ホールとして小芝居やコンサート、講演会などに対応します。

センターステージ使用の場合

両側(前面と背面)の移動式観覧席を利用することで、センターステージ式のホールとして、小芝居などのパフォーマンスに対応します。

配置図・平面図・立面図・断面図

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